NO MAN'S LAND 軍艦島

島には、そこにあるべき大地がない事が無二の現実だった。大海に突き出した小さな岩礁を基礎にして、人工的に作られた狭小な地盤の上に、数千もの人が住み暮らした比類ない島。極限の中に、すべてが凝縮された圧倒的異空間を私は何日も彷徨い歩き続けた…
瓦礫の山を乗り越え、ほとんど暗闇の迷路のような長い廊下から、角の磨り減ったコンクリート階段を何百段と昇りきったと思うと、そこは、屋上であった。四方に広がる大海原が眺望できた。東シナ海の風が旅心にここちよい。西に傾きかけた夕陽の上を数羽の海鳥が飛んでゆく。明治、大正、昭和と、日本の近現代を支えたこの島には、沢山の人々の小さな幸福な暮らしがあったことを、想わずにはいられなかった。
【本文エピローグより】

軍艦島 写真集表紙

Shinichiro Kobayashi: No Man's Land Gunkanjima
¥3,700(税別) 2004年発売 講談社 講談社BOOK倶楽部
A4変形・144頁・掲載写真137点
Published in 2004 by Kodansha, Tokyo, Japan
144pages,137colour plates.
ISBN4-06-352805-7

Photo Gallery: No Man's Land Gunkanjima

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Exhibition 【NO MAN'S LAND 軍艦島】