世界文化遺産 軍艦島
大海に突き出した小さな岩礁を基礎にして、人工的に作られた狭小な地盤の上に、数千もの人が住み暮した比類のない島。極限の中に、すべてが凝縮された圧倒的異空間。はじめて軍艦島へ上陸してから四半世紀が経過した。その間、日本中を旅し、廃墟をモチーフに撮影をしてきた私にとって、軍艦島は廃墟行脚の聖地となった。 無人となった幾つもの住宅の扉を開けて行くとそこには、それぞれの家族の営みが崩れかけた壁や柱に刻まれていた。長い歳月と風雨に晒された木枠の窓に、僅かに残るペンキの紅色が稀少な美を発光させて輝いた。葬られた過ぎし日の時間が私に問いかける。床に散乱する置き去りにされた様々な物たちを、亡骸としていとおしみ大切に記録した作品です。2017年長崎市の特別許可のもと撮り下ろし作品を含む187点収録。
- Shinichiro Kobayashi: GUNKANJIMA
- ¥4 ,600(税別)2018年発売 金の星社
- A4変形・192頁・掲載写真187点
- Published in 2018 by Kinnohoshi-sha, Tokyo, Japan
- 192pages,187colour plates.
- ISBN978-4-323-07415-3